日 時:5月12日(土) 14:00〜
場 所:北海道理科教育センター(物理実験室)
出席者:18名
佐藤健(札幌啓成)、横関直幸(札幌旭ヶ丘)、伊藤新一郎(札幌西)、
中司展人(butukura)、長谷川誠(千歳科学技術大学)、今野滋(北海道東海大学)、
鶴岡森昭(札幌清田)、木村宣幸(札幌西)、三浦麻美、
永田敏夫(厚真)、井原教博(網走南ケ丘)、大屋泰宏(岩見沢緑凌)、
石川昌司(札幌啓成)、菅原陽(小樽工業)、柴田亨(理科センター)、
高橋尚紀(理科センター)、松田素寛(札幌厚別高校)、四方周輔(北海道東海大学)
♪ 一回り小さなサムネイル画像は動画へのリンクです
柴田亨(理科センター)
モンキーハンティング
標的の固定方法の工夫により、部品も構造もとてもシンプルになりました。どの学校でもできます。
- 木の玉を、アクリルのパイプから、吹き矢の要領で標的に向けて飛ばします。
- 標的とパイプを結ぶ軽い糸は、シャープペンシルの芯で支えられています。◀☆ POINT ☆
- 標的のビール缶の中には、鈴が入れられています。少し重さを調節して、シャープペンシルの芯への付加を調節する効果もあるかもしれません。
- アクリルパイプを手持ちにすると、狙いが不正確になるので、スタンドで固定します。パイプ自体が照準器としての役割も果たします。
- 弾丸の木の玉は、軽いものです。たまたまその辺にあったものを使ったそうです。
- 玉は、意外とムキにならず、でもしっかり吹けば、きちんと飛びます。
- 玉の勢いを緩くすると命中精度は落ちるようです。上下のズレというより左右のズレが生じるようにも見えました。
等電位面の測定
剣山と水とイヤホン端子付きラジカセを使った、等電位面の実験。音が聞こえない2点が等電位な所。
音が聞こえなくなる等電位のラインから電極を少しずらしただけで、良好に音声が聞き取れます。等電位のラインがとてもはっきりわかります。
- 信号のソースは、ラジカセのイヤホンジャック(ラジオやCDなど普通の音声)
- ラジカセ側電極は、100円均一で売っている剣山
- 液体は、普通の水道水
- 入力側電極は、裁縫用の待ち針(片方を止めて、もう一方で聞こえなくなる点を探す)
- イヤホンはクリスタルイヤホン◀☆ POINT ☆
- 透明な水の受け皿の下には方眼紙
- 電極(剣山)間の距離は、10cm 程度だから、信号が電磁波としての性質をもつ振動数は数GHz。一方、音声の信号はたかだか数kHz だから、十分に静電場として扱うことができます。
等電位線の記録方法について、いくつか意見が交わされました。
ついでに
イヤホン端子から出る電流は交流か、直流かという議論で、出力を検流計につないでみると。確かに交流でした。しかし、検流計の振れと、耳に聞こえてくる音声の強弱が、どうも一致しないようです。
鶴岡森昭(札幌清田)
イギリス科学名所巡り
ゴールデンウイーク中の4日間で訪問したイギリスの科学にまつわる名所の写真を見せていただきました
- ケンブリッジ大学の歴史はすごい。名だたる科学者の伝説がずらり。ニュートンが出入りしていた場所。
長谷川誠(千歳科学技術大学)
レンズ式実像観察器
- 材料:工作用紙、薄手のトレーシングペーパー、市販のレンズ
- もともとはピンホールカメラの説明用だったのですが、ピンホールとは根本的に違うだろうという意見も出ていました。ピンホールよりも像が明るいので見やすいです。
- 生徒は上下逆はわかるけど、左右逆は意外とわからないので、経験させます。
- 内筒の一辺の長さは6cm、外筒の一辺の長さは6.5cm
三浦麻美
ピンホールカメラ
- トレーシングペーパーと工作用紙を使うところは、レンズ式と同じです
- できた像は、とても暗いです(写真は窓の外のアパートが映し出されている様子)
- トレーシングペーパーは、厚手のものを使用すると失敗するそうです。◀☆ POINT ☆
- レンズがなくてもトレーシングペーパーの上に像ができるというところが重要
- レンズ式でも、レンズを小さくしていくと被写界深度が深まり、ピンホールに近づいていきます
- 内筒の一辺の長さは8.8cm、外筒の一辺の長さは9cm
光の三原色
色の合成、色のついた影
- 三原色を混ぜ合わせる強さの配分に微妙な調節が必要なので、LEDを固定するアームがあるところに意義があります
- 白色LEDは、色セロファンとの組み合わせで使います
- 手軽さが既製品の強みでしょう
今野滋(北海道東海大学 & 北海道大学 非常勤講師)
日時計作成ソフトの紹介
イギリス科学プレゼン3分勝負の紹介
- イギリスでは、昔からサイエンスコミュニケーション関連の活動が盛んです。
- 3分という限られた時間で、テレビ局のカメラ、聴衆、そして審査員の前で、適当に選んだ科学のトピックスの面白さをアピールします。
- ぜひ、日本でもやってみたいです。
石川昌司(札幌啓成)
ニュートンリング説明器
ヒモや棒を使うのではなく、紙テープを使ったことで、固定端反射をスマートにデモできます。
- 固定端反射を見せるほうの紙テープは表裏逆の色が塗られています ◀☆ POINT ☆
- 自由端反射を見せるほうの紙テープは表裏同じ色が塗られています
- 制作手順:
- 太い紙テープの表に、紅白塗り分け、波の山と谷を表現
- 塗ってから、紙テープの真ん中で2つに切り分ける
- 裏を塗る
- 反射光だけではなく、透過光もデモできます
小型ACアダプターの待機電力
パソコンや家電製品の電源に使われている電源の小さなトランスで、しかも、50Hzという比較的小さな振動数で、電力を利用しない待機中のコイル一時側の電流が本当にゼロになるのか、もしかしたらスイッチング回路のようなものがあって、待機電力をセーブしているのではないか、という問い掛けです。実際に電流を測ってみました。
- 入力(1次コイル)側の電圧を徐々に上げていったところ、
- 出力(2次コイル)側を開いている場合:入力側にはほとんど電流が流れず、100V の電圧に対して、流れたのは数mA 程度でした。この場合の待機電力は1w 未満と云えます。
- 出力側を閉じてショートさせた場合:入力側にはほとんど電流が流れませんでした
- 出力側に豆電球を接続した場合:豆電球が明るさを増すにつれて入力側の電流も増大していきました
石川先生のメールより抜粋引用
北理研MLで話題になった、プラスチックを割った(笑)ACアダプターの中身
(1)ドロッパー型と思われるACアダプタを分解
し基盤からトランスだけを取りはずす。
(2)AC100Vをスライダックで降圧し,交流
電流計を介してトランスの1次側の端子につなぐ。
(3)トランスの2次側に負荷として豆電流をつなぐ。
(4)スライダックダックを0から徐々に上げていく。
↓
結果:1次側の電流が徐々に大きくなり,2次側
の豆電球が点灯し徐々に明るくなってきます。
(5)2次側を開放し(=何も接続しない),スライ
ダックを0から徐々に上げていくときの1次側の電
流を観察する。
↓
結果:電流計にはほとんど電流が流れない。つまり
トランスの1次側には電流がほとんど流れな
い。
(6)(4)の実験で豆電球が点灯している状態
で,豆電球をひねって2次側の回路をOFFにする。
↓
結果:豆電球が点灯していたときは,1次側につな
いだ電流計は0ではない振れを示していまし
たが,2次側の豆電球をひねった途端,1次
側の電流はほぼ0になりました。
<考察>
そもそもコイルに交流を流すとコイルに自己誘導が
生じる。直流の場合は抵抗による電圧降下が端子電
圧となるが,交流の場合はこの自己誘導による電圧
降下が端子電圧になる。
2次側に負荷がつながっている場合は,2次コイル
に電流が流れるが,この2次コイルに流れる電流が
つくる磁束の向きは1次側のコイルに流れる電流が
つくる磁束の向きと必ず逆なので,このままでは鉄
芯内の磁束が不足してしまうから,1次コイルに流
れる電流が増加し,その分を補わなければならな
い。
ちなみに
(7)2次コイル側を短絡して,1次コイル側のス
ライダックを徐々に上げていく。
↓
結果:電流計の振れはほぼ0のまま!
高橋尚紀(理科センター)
水の高分子吸収剤
寒天が入っている砂糖水の濃度を調節して、寒天が見えなくなるという話はありますが、これはそれとは違い、水を吸いきった無着色の高分子吸収剤が水中にあるとき、ほとんどの成分が水であるために、屈折率が水に近く、ほとんど見えなくなるというものでした。
- 水の高分子吸収剤は100円ショップの園芸コーナーにおいてあるとのことです。ちなみに、250円だったそうです。
空気中の塵を集めて放射線源として使う
空気中の塵を掃除機で集めると、優秀な放射線源として活用できます。ランタンのマントルよりも強い放射能があります。決して理センが放射能汚染されているという話ではありません。この放射能の源は地球です。
- ↑画像をクリックすると高橋先生の説明が聞けます
- 掃除機で塵を吸って集める時間は30分程でも良いそうです
- 半減期がおよそ30分と、短いので、線源として翌日まで保存しておくことはできないようです
- 時間とともにカウント数が減っていく様子を忍耐強く測定し続けた結果のグラフも見せていただきました
世界最大の蛾 ヨナグニサン
単振動の解析
菅原陽(小樽工業)
ペットボトルを使った簡易竜巻
- 500ml 入り炭酸用ペットボトルに洗剤を垂らした水を入れ、良く振って泡立てて、ぐるっと回すと、竜巻が観察できます
- 口を下にして液体の回転の抵抗を減らすことがポイント
- 大きなペットボトルでもできますが、コツがいります
- ラメなどの水と比重が近いゴミを少々入れておくと、水の流れがもっと良く観察できるでしょう
- じつはこれは、売り物(¥1,200)であったものを、身近なもので再現してみたのでした
ウズラ卵を使った浸透圧の実験
同様な実験は鶏の卵でもあるのですが、ウズラを使うことによって、観察が容易になります。
- ウズラの卵を濃塩酸につけて殻だけ溶解させます。希塩酸や酢でもできますが、その場合は大変時間がかかります。
- 一見、ゆで卵のように見えますが、ぶよぶよした普通の卵です。殻の裏側の薄皮が溶けずに残っています。たんぱく質が変成して表面の色が白くなります。
- 水に浸けるとぱんぱんに膨らみ、食塩水に浸けるとぶよぶよに小さくなります。