物理実践交流会・2005年4月・演示ネタ

文・写真:今野 滋(北海道東海大学非常勤講師)

大坂厚志先生(札幌平岡高校)

IH調理器を使った科学の祭典用演示

動画です

これは、オリジナルネタでは無いそうですが、出典は失念しました。 IH調理器の上にアルミ箔を置くと動きます。 言われてみれば当たり前ですが、これはなかなか思いつかないでしょう。 アルミ箔が横に飛んでいかないように、中心に穴をあけて軸を通すのがコツのようです。

円が切れたCの字ではどうか? 誘導起電力はどの程度発生するか? 形を変えてみるとどうか? などなど話題がつきません。 最後には、IH調理器を分解してみようという話になりましたが、「そのときに限りたまたまドライバーが見つからなかった」というオチがつきました。

滝口正之先生(厚真町立厚真中学校)

水溶液の粘性の変化について

納豆からポリグルタミン酸(=PGA)を取り出します。

!この実験のもとになったネタ:Three-b Co Ltd http://three-b.net/kenkou/shop/natutou.html

滝口先生

  1. まず、納豆をよくかき混ぜます。納豆の内部に菌糸として入り込んだPGAを引き出す効果があるそうです。
  2. 水に溶いて、ガーゼ1枚で固形分と分離します。先に、固体を押さえて液体部分だけを落とす事がコツのようです。ガーゼが薄いので絞る事はしません。
  3. アルコールを混ぜて、かき回すと、繊維状にPGAが分離されます。よくかき回す事で、繊維が締まり、不純物を減らす事ができるそうです。
出来上がり。拡大してみると、繊維の束になっている事がわかります。
これに水を混ぜてしばらく置いておくと、溶けて乾燥肌が潤うローションができるそうです。

icon-pen レシピ:納豆ひとパック(50g)、水100ml、無水エタノール100ml、紙コップ2つ、ガーゼ、ガーゼを留める輪ゴム

横関直幸先生(札幌旭丘高校)

管瓶(透明なガラス管)を用いた回折格子の実験

回折の測定が容易になるだけでなく、瓶に水を満たすと、回折の角度が変わります。そこから水の屈折率を測定する事もできます。

スリットライト(中村理科)を用いた屈折率の実験

はねないボールを使ってビースピを用いる実験

落下実験の際に、跳ね上がらないので重宝するそうです

石川昌司先生(札幌啓成高校)

手回し発電機を用いた燃料電池の実験

燃料電池に電力を供給すると、効率よく電気分解が行われます。これで発生した水素と酸素をもう一つの燃料電池に送り込んでモーターを回すという装置です。 生徒から「プロペラを直接手で回すのとはどう違うの?」という質問が出たりするそうです。水は純水を使っています。

確かに酸素と水素で2対1の体積比になっています
(動画)手回し発電機を使えば、太陽電池と違い、光の無いところでも実験できます。

参考リンク:ケニス>燃料電池実験器 Junior B http://www.kenis.co.jp/nenryou/xml/3123026.htm

スチームエンジン2つ

木炭を燃やして湯を沸かし、蒸気機関を動かすという本格派です。得た動力で電気を起こし、豆電球を点灯させます。

(動画です)

裏から見ると2種類のパイプが通っている事がわかります
学研「大人の科学」の付録だそうです。こんなに小さな蒸気機関車は見た事がありません。

鉱石ラジオ

その名の通り、本当に鉱石に針を当てて検波します。クリスタルイヤホンを使うと電力消費が少ないので、3つ程並列につなぐ事ができるそうです。学研「大人の科学」付録。

参考リンク:学研>大人の科学マガジン http://shop.gakken.co.jp/otonanokagaku/magazine/

菅原陽先生(札幌南陵高校)

キノコの栽培

雑菌の侵入を防ぐために、プラケースの中で栽培し、プラケースは開けないそうです。写真はエリンギ。

静電気を利用してシャボン玉を浮かせたり、シャボンどうしを衝突させる演示

プラスに帯電したシャボン玉と、マイナスに帯電したシャボン玉を浮かばせて近づけると、互いに激しく回転しながら引き合い、衝突して消滅します。

シャボン玉に帯電させる実験は現在、米村伝次郎氏によるデモが有名ですが、菅原先生はかなり以前からこのテーマに取り組んでいらしたそうです。長年の試行錯誤に基づくノウハウがあります。結局、ストローを帯電体にくっつけて吹くのが最も有効だという結論に達したそうです。マイナスのシャボンは塩ビ、プラスのシャボンはアクリルで作っていました。

静電気で操れるシャボン玉自体もかなり楽しいもので、とても盛り上がりました。

動画です(注意:左は12Mbあります/結局、対消滅の瞬間は撮影できませんでした)

icon-pen2 シャボン液のレシピ:

  1. フィルムケースに、砂糖3gを入れます。コーヒー用のスティックシュガーが便利です。
  2. そこへ、洗剤を入れます。量は砂糖が浸る程度。たいていの洗剤は使えるそうです。ここでは、100円ショップダイソーの界面活性剤33%ものを使っていました。
  3. 水を加え、ふたをしてよく混ぜます。泡が消えるまで静置して、また混ぜます。要するに、砂糖が溶ければよいのだとのこと。

今野滋(北海道東海大)

楕円内の波紋は焦点に集まる演示

円筒形の容器を傾けて楕円の水面を作り、その焦点にプラスプーンで水の塊を落とします。水は注いではいけません。スプーンごと少し落下させて、水の塊に勢いを付けてやる事がコツです。

記事⇒http://cm.kj.yamagata-u.ac.jp/rika2/arXiv/msg00619.html

Last updated 12 Apr 2005 (HTML作成:今野 滋) [ Back ]